226.読書記録 「21世紀の国富論」
![]() | 21世紀の国富論 (2007/06/21) 原 丈人 商品詳細を見る |
<目次>
はじめに
第1章 新しい資本主義のルールを作る
第2章 新しい技術がつくる新しい産業
第3章 会社の新しいガバナンスとは?
第4章 社会を支える新しい価値観
第5章 これからの日本への提言
おわりに 21世紀へのビジョン
<Learnings>
・ベンチャーキャピタルが死んだ?
ベンチャーキャピタル(以下、VC)の存在意義は、兆単位の新しい基幹産業を生むような技術を発掘し、それを長期間かけて育てることにある。シリコンバレーの成功は、あふれる優秀な人材が次々と生み出した技術の芽に、着実にマネーが供給されたことにある。
しかし、VCの成功は肥大化を生み、一人のベンチャーキャピタリストに手に負えなくなったファンドは、資産運用のファンドマネジャーや経営コンサルら、短期リターンを求める人々に支配されることになった。結果、VCの本義である「リスク引受け」ではなく、「リスク分散」に走った。
氏によれば、リスクを取らないVCは、VCの名前を返上すべきであるという。VCの復活を志向するのか、VCに代わる事業会社の集まりによる「業界ファンド」などの代替システムを創るのか、リスクマネーの供給者のあり方が問われている。
・機能しなかったアメリカ型コーポレート・ガバナンス
日本においては取締役はほぼ全員、内部昇進であるが、米国では社外役員という「資本の側」の株主を代表する取締役が半数以上を占めている。
本来はCEOをコントロールするのが社外取締役の役割であるが、ほとんどの上場企業では社外取締役の選任はCEO自身。ここに、原則と制度の矛盾が発生している。CEOは自分の息のかかった社外取締役を選任し、モニタリングを骨抜きにし、短期リターンの追求に走る。
たとえ、CEOに中立な株主であったとしても、株主の多くは年金などのファンドであり、同じく短期リターンを追求するのには変わりはない。
そして、短期利潤を最大化して株価を釣り上げたところで、ストックオプションを売り抜け、莫大な富を得て会社を去っていく。日本人特有の「欧米崇拝」で、一時的に結果が出たからと言って、制度をアメリカ型にすればよいというものではないだろう。
・先進国の中で最も税率の低い国を実現する
氏は法人税、所得税、住民税、消費税、その全てが世界一低い国にすることを提唱する。では巨額の財政赤字はどうするのか??という反論が聞こえてくるが、氏は「税率の低下は税収の低下ではない」と主張する。
すなわち、税率低下により、世界中のヒト・モノ・カネが日本に集積し、新しいコア技術の開発・輸入がなされ、次世代の基幹産業が育つ。そうすれば、最終的には法人税で回収できるという段取りだ。実際、レーガン政権中の大減税においても、税率は減らしても、最終的にシリコンバレー由来の法人税で税収は増えたという。
「低税国論」はよく聞くが、氏の主張は金融立国化ではなく、愚直に基幹技術の開発にこだわるところに、特徴があるとおもう。
氏の凄いところは、実際に自分でモデルとなる会社を立ち上げて、軌道に回してしまうところだ。実際、その多くが世銀などから高い評価を受けている。本書には世界を変える明確な設計図が描かれている。
PS 原さんにはぜひ後世のために、自叙伝を残してほしい。
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