2012-01

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386.MOTの諸論点

続いて、MOT関連の本を読んだので、記しておきます。
特に延岡先生の最初の本がまとまっていると思います。


MOT“技術経営”入門 (マネジメント・テキスト)MOT“技術経営”入門 (マネジメント・テキスト)
(2006/09)
延岡 健太郎

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イノベーション・マネジメント入門―マネジメント・テキストイノベーション・マネジメント入門―マネジメント・テキスト
(2001/12)
一橋大学イノベーション研究センター

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・イノべ−ションの収益化
日本の製造業に特有の問題が、技術革新を実現するも、利益につながらないという「イノベーションの収益化」である。利益の一部は長期的な開発投資に回るため、将来の新規技術のためにも利益を確保する必要がある。

これに対し、以下の3つのアプローチが考えられる。

まず、アーキテクチャ設計である。日本企業は「外インテグラル×中インテグラル」という擦り合わせによる軽薄モデルの設計に長けているが、顧客ごとのカスタマイズのため、開発・製造費が高くなってしまう。そこで、特にBtoCの最終製品に関しては、部品をモジュール化・プラットフォーム共通化し、量産効果により部品価格を下げ、「外インテグラル×中モジュール」というマスカスタマイゼーションの方向性を目指すべきである。

次に、部品の調達に関してである。すなわち部品を内製するか、外注するか(Make or Buy)という意思決定である。製品性能を決めるようなコアデバイス、もしくは生産の強みに適合していなければ、開発・設計も含めて外注した方が安価となる。最近は船井電機のようなODM/OEM企業と、中国企業を中心としたEMS企業のような専門企業が増えている。

最後に、中間財の販売に関してである。すなわち、内製した部品を外販するか否か(Sell or not Sell)という意思決定である。外販ビジネスの利益と自社商品への影響(+or−)を比較考量する必要がある。自社商品の+要因としては、量産効果により製造原価低下、自社部品が標準化することによるネットワーク効果、他社の学習抑制効果が挙げられる。−要因としては、デバイスによる差別化が不可能になり、自社の部品を入手した途上国の競合に安い労働力を使って、価格低下が進むことが挙げられる。最近ではこの−要因によるコモディティ化が目立つため、注意を要するだろう。

・効果的な製品開発
製品開発の成功には、以下の2点が挙げられる。

まず、静的な組織構造のアプローチとして、「プロジェクト組織」体制を強化することである。ほとんどの製造企業は「機能別組織」を敷いているが、短期間の開発には、機能横断的なメンバーを集めたプロジェクト型が適している。一般的に市場ニーズが複雑化し、商品特性がインテグラルになるほど、大部屋に一同を集めた(Co-location)形のプロジェクトが求められてくる。そして、設計者自身が生産しやすい設計条件(Design for Manufacturing)を把握しておくことが必要である。

さらに、動的な組織プロセスのアプローチとして、開発工程のオーバーラップ(Concurrent Engineering)を進め、効果的でスピーディーなフロント・ローディングを実現させることである。すなわち、プロジェクトの川上・川下のモジュールをかさね合わせて同時進行し、川上で出来た成果物は順次、川下に送るように綿密なコミュニケーションを図ることが必要である。この時、出し惜しみや出てきた順に成果物を送ると、手戻りのリスクがあるため、注意が必要である。

また、特に自動車産業で使用される3D-CADなどのシステムツールの活用も有効である。3D-CADとは3Dの形で試作品を作ることで、生産を含めた川下行程との擦り合わせを革新的に効率化・省略化できるツールである。ただし、ツール利用が目的化することなく、組織能力の構築ありきであることを念頭に置く必要がある。

・Incremental Innovationの成功要因
改善イノベーション(特に市場化した後の改善)には、顧客の細かなニーズの吸い上げとそれを設計情報に反映して、製品生産に落とし込むまでのリードタイムの短縮がカギとなる。

そのためには製品プラットフォームを共通化させ、亜種の展開の際にすぐ対応できるよう、基本的な技術情報に関しては社内で標準化・データベース化しておく必要がある。

さらに、常日頃から営業・開発部門の連携が必要である。具体的には、主要顧客や貴重なインプットをもらえるリードユーザの営業に技術者が同行したり、開発プロジェクトの会議に営業部門の参加者を同席させるなど、両サイドのコンタクトの機会を増やすことである。これにより、営業側の握る顧客ニーズが開発側に暗黙的に伝わる経路が増えると思われる。

ただし、Incremental Innovationに適した人材要件としては、Drastic Innovationに適したような個人技の「カリスマ」的なマーケターや技術者とは反して、地味で泥臭い営業部門との交流をいとわず、工数・工程管理に忠実なタイプの人材が求められることに注意が要る。

・Drastic Innovationの成功要因
一般的に企業は長期的な視野で強みとなる主力のコア技術を磨くべきであるが、既存のコア技術の開発(Development)のみならず、新規技術の研究(Research)にも一部の時間を注ぐ必要がある。

有望な研究技術のロングリストから絞った中、開発に進出すべき時は社長のトップダウンで機能横断型のプロジェクトとして一気に推し進め、Quick Winを経て、社内における実質的な正当性(Legitimacy)を獲得すべきである。

好例はシャープの「緊プロ」制度である。社長直轄の新商品開発プロジェクトであり、予算配分・事業部長や機能部門長を上回る人事権・施設の優先的使用が認められ、同社のヒット商品のほぼ全てがここで作られてきた。日常から部門横断的なローテーションを組み、いわゆる「縦割り意識」は薄い。数十年に渡って継続して結果を出しており、社内上層部はみな「緊プロ」経験者であることから社内的理解も強い。

なお、シャープは昨今のスマートグリッド構想に乗り、同様のプロセスで太陽電池パネルも次世代のコア技術に据えさらなる量産化を目指している。革新的イノベーションを担保する組織能力の好例である。

・オープン・コラボレーション(産学連携)
近年、社内でのR&Dのみに閉じない外部志向の研究開発が求められており、日本企業に特徴的な自己完結的で垂直統合的なR&Dが批判されている。一般的には企業と大学との共同研究、委託研究、研究者の相互派遣など様々な形態が考えられる。日本では例えば、東工大と三菱商事による太陽光発電によるエネルギーシステムの共同研究開発・実証実験が行われている。

オープン・コラボレーションの極端な例がシスコ・システムズのA&D(Acquisition & Development)戦略である。シスコは総合ネットワークソリューションメーカーであり、累計100件以上のスタートアップの買収を行ってきた。製品ライフサイクルが極めて短いため、自社で基礎研究をやらない代わりに、優秀な技術を人的資源を買収することで、スピーディーな技術へのキャッチアップを実現している。

同社の成功基準は以下の3つとなっている。
まず、被買収企業人材の維持である。人材流出を防ぐため、開発・マーケティング・販売の部署は原則維持される。また各企業に応じた文化的配慮により、被買収企業のマネジャーの70%、全従業員の90%がシスコにとどまるとも言われている。

次に、新製品開発への貢献である。買収先の要件の中には6ヶ月で製品化できるテクノロジーとあり、あくまでも製品開発と収益化を目標としている。ただし、同時に長期的なWin-Win関係が築けることも要件として含まれている。

最後に、ROIの達成である。買収企業からの選定から完了まで2〜3ヶ月と極めて短く、選定プロセスも標準化されている。新興市場で自社事業がトップになれるかに関する検討ツールであるプランニング・マトリクスを元に、機能横断的なプロジェクトチームがFeasibility Studyを担当することになる。

日本のNIH(Not Invented Here)シンドロームに見られる閉鎖的な空気はここにはなく、"No Technology Religion"のように特定の技術に固執することにむしろ警鐘を鳴らしている。自社技術がないことに開き直り、合理的な買収という開放的な技術戦略に徹している。

以上。

385.スマートグリッド

引き続き、環境問題系の本をざらっと目を通したので、まとめておきます。
ずいぶん遠ざかっていた領域でしたが、昨今の原発問題等を受けて、さすがにかなりホットになってます。

特にあらゆる環境問題の論点に絡んでくるスマートグリッドについて、書いておきます。


スマートグリッド革命――エネルギー・ウェブの時代スマートグリッド革命――エネルギー・ウェブの時代
(2010/06/24)
加藤 敏春

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世界を変える、クール・ソリューション―低炭素社会の新しい競争と選択世界を変える、クール・ソリューション―低炭素社会の新しい競争と選択
(2011/02/04)
金谷 年展

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「環境経営」宣言―グリーン・ビジネス時代の幕開け「環境経営」宣言―グリーン・ビジネス時代の幕開け
(2009/01)
武田 浩美

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週刊 東洋経済 2011年 7/30号 [雑誌]週刊 東洋経済 2011年 7/30号 [雑誌]
(2011/07/25)
不明

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【スマートグリッド構想】
・スマートグリッドとは、電力の「供給」側である発電所と「需要」側である企業・家庭を情報ネットワークでつなぎ、電力供給をシステムで自動平準化し、電力の効率的利用を目指すいわば「電力のインターネット」である。

さらに、既存の「需要」側であった企業・家庭が太陽光パネル等を設置し自家発電することで、電力の「供給」側の役割も担う「需給の一体化」が特徴である。

以下、このシステムのメリットとデメリットを挙げる。

メリットの1つ目は電気料金が削減される点である。電力料金のリアルタイム・プライシングにより、デマンドコントロールがなされ、基本料金が逓減される。さらに、自家発電を通して使用分が自給できる上に、余剰電力は蓄電池を用いて備蓄したり、電力会社に販売することも可能である。そして、電力は市場化されたエコポイントの形で表示され、消費者にメリットが還元されることにもなる。

2つ目は太陽光発電等の再生可能エネルギーの使用を前提としているため、環境への悪影響がほとんどない点である。近年、化石燃料発電による地球温暖化、大気汚染が大きな社会問題になっており、またCO2削減の国際目標の遵守や削減福島での原発事故を踏まえた昨今の脱原発の潮流にも整合的である。

3つ目に関連する新産業および雇用を創出できる点である。家庭・企業用の太陽光パネル、蓄電池、電力使用状況を計測・可視化するスマートメーター、電力需給を制御するシステムであるHMES/BMES、さらには電気自動車やプラグインハイブリッド、そして電気スタンドの普及も想定されてくる。不況の成熟国・日本において、絶好の産業育成効果となるだろう。

デメリットとしては、短期的に電力会社の売上・利益が減少することである。電力供給平準化や自家発電による電気使用量削減により減収、クリーンエネルギー発電所の開発投資により減益を招くことが予想される。

【スマートグリッド普及のための課題と処方箋】

スマートグリッド普及には主に以下の3点の課題が挙げられる。
考えられる打ち手を付しておく。 

1つ目は、太陽電池パネル・蓄電池の価格低下である。技術革新と量産効果により長期的には価格が低下傾向とはいえ、やはり設備投資の損益分岐は以前高く、価格低下が期待される。そのためには、太陽電池パネル導入についての補助金を強化、現在の使用余剰分のみではなく発電全量に対する固定価格買取制度の導入が求められる。さらに、蓄電池の原材料であるレアアース(リチウム)の確保、調達国の分散による安定供給リスク低下も必要だろう。

2つ目は、住宅業界によるスマートハウス参入、大企業によるメガソーラー参入の促進である。住宅業界に関しては、HEMSに関する保証制度の検討、認証機関の立ち上げなど、HEMSの普及基盤の整備が求められる。さらに、異なる家電メーカーの間の通信規格の標準化も必須となってくるだろう。メガソーラー参入促進に関しては、耕作放棄地や鉄道・高速道路沿線、さらには排他的経済水域といった国による設置区画の認可や大規模な投資減税といった税制優遇措置が求められる。

3つ目は、エコポイント制度の整備である。11年度から導入される国内排出量取引制度をベースにし、CO2削減分についてエコポイントを還元し、それらを省エネ家電の購入やスマートハウス化、そして電気自動車購入の割引としてさらに利用できるようにする。一回限りの補助金に終わらせず、グリーン化に向けた乗数効果を持たせるインセンティブとすることが必要と思われる。

以上。

384.BOPビジネス

BOPビジネス系の本をいくつか一気読みしたので、まとめておきます。


BOP 超巨大市場をどう攻略するかBOP 超巨大市場をどう攻略するか
(2011/01/26)
小林 慎和、高田 広太郎 他

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世界とつながるビジネス――BOP市場を開拓する5つの方法世界とつながるビジネス――BOP市場を開拓する5つの方法
(2010/11/16)
国連開発計画(UNDP)

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ネクスト・マーケット[増補改訂版]――「貧困層」を「顧客」に変える次世代ビジネス戦略 (ウォートン経営戦略シリーズ)ネクスト・マーケット[増補改訂版]――「貧困層」を「顧客」に変える次世代ビジネス戦略 (ウォートン経営戦略シリーズ)
(2010/07/13)
C.K. プラハラード、C.K. Prahalad 他

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【BOPビジネスの課題】
・ニーズの違い
当然、国が違えば、消費者の趣向も違う。インドネシアでは、エアコンは日本とは逆に顔に当たる風向が望ましいという。インドでは食品は数日分のみ買ってくるため、食品保存のための冷蔵庫はそこまで必要とされていない。そして水は常温で飲むのが普通だ。東南アジアでは飲料は糖分の多い甘いものが好まれる。

これらは、現地に長く駐在した人しかわからない経験的事実だ。BOPビジネスにおいては、仮説思考は単なる「思い込み」に過ぎないことが多く、謙虚なフィールドリサーチに基づいたマーケが求められる。

また、途上国は、先進国が経た生活レベルの発展とは全く違う経路をたどる。日本はテレビ・冷蔵庫・洗濯機という家電の「三種の神器」が定着してから、携帯電話が普及したが、途上国(Vodafoneの参入したケニアが好例)においては、まず携帯電話の普及率の方が高く、近年ではモバイルバンキングや音楽配信サービスなど付随サービスも充実してきている。

・可処分所得の違い
07年に国際金融公社(IFC)と世界資源研究所(WRI)の発表した"The Next 4 Billion"によれば、BOPとは購買力平価換算で年間所得が3000ドル未満の人々を指すとされ、全世界に約40億人いるとされる。

可処分所得が低いので、基本的に商品単価も安価なものでなければならない。過剰な機能を落としたロ−エンド商品が必要になってくる。高い人件費をOverheadに載せたハイエンド製品の日本企業が、二の足を踏む大きな要因である。

ただし、40億人を一括で議論するのは非常に危険であり、世帯年収レベル×都市・農村という軸でセグメント分けする必要がある。上のNRI本によれば、日々をサバイバルしている極限状態であり、日本企業のビジネスが成立しない世帯は世帯年収が1000ドル未満の世帯であるという。人口10億人であり、BOP人口の25%に相当する。逆にいえば、その他はビジネスを検討する余地があるということだ。

・物的インフラ
物的インフラが未整備だと、ビジネスの取引費用が高くなる。特に道路がない、あっても舗装されていないと物流に支障をきたす。世銀の分類では、低所得国53カ国の道路全てつなげても23万9000キロだが、高所得国60カ国の道路は360万キロという実に15倍になるという。特に農村においては村が散在しており、販売効率がさらに悪くなる。

他にも、水、灌漑、電気、衛生、ごみ回収などのインフラがない場合が多く、現地駐在の障壁になっている。

・法的インフラ
ビジネスの基盤となる法的インフラも発達していないことが多い。外資企業の参入や成長支援のような法的枠組みがなく、ビジネスに支障が発生する。大部分を占める貧しい事業主は公的免許取得のないインフォーマルな事業形態が多く、法規制に沿ってビジネスを行う大企業にとっては取引が難しい。

また、規制があったとしてもひどく官僚主義的なことが多く、登録や免許取得のための費用や、その労力分の機会費用は甚大である。さらに、汚職が激しく、慣習的にunder-the-tableなお金が要ることもある。

さらに法律違反が日常茶飯事の上、民事訴訟体制も整っておらず、大企業にとってはトラブルの連続となる。マニラ・ウォーターがフィリピン政府から事業を引き継いだ当初、水道から恒常的に水が盗まれ転売されていたらしい。身近なところだと、知り合いの経営者の方はケニアの空港職員(!)に預けたカバンを盗まれかけたという。

・知的インフラ
教育水準が低く、消費者として製品の利用法、活用するスキルを持ち合わせていない場合がある。最貧国では十五歳以上の識字率は53%にとどまるという。さらに、現地労働者を雇うにも、従業員としての生産性も低くなり、一定の教育コストを要する。

また、ネット普及率も低い。05年度で、インターネットのアクセス率は中国の都市住民は43%、対して農村住民は4%である。バングラデシュでは08時点で世帯普及率が0.05%でしかない。

さらに、ビジネス関連情報も不十分であり、定量的な戦略立案は難しい。先進国のような統計は整備されておらず、あっても10年に1回ということもある。アンケートのような消費者調査も行われておらず、それ以前に識字率が低い。クラスター分析、コンジョイント分析といったなキレイな分析ツールは使いにくい。


【BOPビジネスのアプローチ】
・マーケティング
家電に関しては、機能をそぎ落として、低価格のローエンドモデルを作るのが基本。また、使い慣れていない消費者のためにアフターサービスの強化がウリになりうる。インドでSumsungが受けているのは、端末が壊れた際の即日無料交換サポートである。消費財に関しては、「小分け」が基本。P&Gやマンダムのシャンプー、リンス、整髪料の類の日用品が小さな袋に小分けされて、売られている。

販売チャネルは、都市部については、ショッピングモールやローカル店をしらみ潰しに回るのもありうるが、農村については分散しており、現地に根を張ったNGOやNPOや先行企業のネットワークを使うのが適している。好例はインドにおけるヒンデゥスタン ユニリーバの5万人の女性販売員ネットワークであり、約15万の農村に販売網が行き届いている。彼らと業務提携することで、この関係資産を有効活用しようという動きもある。

プロモーションについては、家電や消費財のBtoC品については、急速に普及しつつあるテレビでのCMがまだ有効だろう。また、初めて出会う商品に対し原体験を植え付けるための体験型デモンストレーションが望ましいかもしれない。

未開拓市場でのブランド構築は先行者が有利となる。仮に携帯電話がほぼSumsungやNokia製品となってしまったとしたら、彼らが薄型テレビを買う時に東芝、日立ではなく、Sumsungを選んでしまうことになりかねない。事実、現在、インドで自動車首位のスズキも、中国で地位を築くSumsungも「誰も攻めない」時から地盤を固めていた。


最後に支払方法の柔軟化である。小分けにできない大きな買い物に関しては、彼らの収入に見合った分割払い・リースも検討する必要がある。ブラジルではマイクロソフトがパソコンをプリペイドカード付きのマイクロリースで提供している。

・人材育成
まずは現地の指令搭となる駐在員が必要。そして徐々に、現地職員を使って、オペレーションの現場委譲を進めて行くのが理想。

有名なSumsungの現地専門家制度は、本人が希望する国に1年間赴任し、その国を理解するという超贅沢な研修。これによって「韓僑」を大量に育成しようとしている。Panasonicでも10年度の新卒採用1250人の内、海外採用は750人と6割に迫る。

ただし、産業能率大学の2010年8月のデータによると、新入社員の49%が「海外で働きたいとは思わない」と回答しているという。若者の内向き志向と、企業の海外人材志向のギャップは必然的に海外採用の増加で補完されていくだろう。


まだまだ書きたいが、今回は取り急ぎ、以上。

383.Singapore記録(20110706_20110710)

Vacationを取って、以前からずっと興味があったSingaporeに行ってきました。
以下、単発的なネタではありますが、旅行記をまとめておきます。


・羽田国際線ターミナルとチャンギ国際空港
昨年開業した羽田の国際線ターミナル。モノレールから降りてみると出発フロアに直結しており、かなり便利な印象。江戸時代の通りをイメージしたレストラン・ショップ街が充実しており、つるとんたん(うどん)などなかなか店のチョイスがイケている。

一方、チャンギ国際空港。搭乗手続きをした後はブランド店くらいしかない日本とは対照的に、手続き後のコンテンツが充実している。特に印象的なのが、利用客思いのサービス。数は少ないが、無料ネットサ−ビス(羽田は10分100円)、TV付きのリクライニング・チェアー、大画面・大きなソファーでのサッカー中継観戦など充実している。また、巨大な滑り台など、子供用の遊び場ゾーンもあった。

どちらがいいかと言われると、まだわからないが、今のところ、アクセスは羽田、コンテンツはチャンギが優勢。

・宗教施設の混在
Singaporeの人口構成は華人75%、マレー系14%、インド系9%、その他2%となっており、そのため、仏教寺院、イスラム教モスク、ヒンデュー教寺院、そして英国系華人と白人のためのキリスト教教会など、多様な宗教施設が混在している。チャイナタウンのド真ん中に、派手なヒンデュー教寺院が立っていたりする。

Singapore最古のヒンデュー寺院に行ったが、特徴的なのはカラフルな人や動物の人形が屋根を飾っていること。一目でヒンデュー教のものとわかる。半裸の僧侶たちが粛々と歩いており、熱心に祈るインド系の信者も見かけた。

政府は独立以来、Singaporianとしての国民国家的なアイデンティティを植え付けようと懸命だが、人々は各々のルーツをなかなか手放そうとはしない様子。

・Little India
ホテル周辺の一帯はインド人が多く住むエリアでLittle Indiaと呼ばれるところ。世界最大規模のインド人街らしい。ただし、Little Indiaの中心部から離れていたためか、歩いている人はインド人が目立つものの、街並みは完全に中国や香港に近い。

ローカルの人たちのための大きなShopping Center(SC)があり、Super Marketを擁し、日常生活の基本的なニーズはほとんど足りるようになっている。テナントはMcDnald、KFC、Subwayやら、イメージは日本と変わらない。ここに限らず、どこの駅前にもSCがあり、地元の人たちの生活の場になっている。

・観光客誘致
観光リゾート業に特化したSentosa島。Universal Studioといったテーマパーク、ビーチ、ホテル、レストラン、バー、ショッピング施設、水族館、カジノ、各種アトラクションが集積した一大観光地になっている。

島南端のHarbour Front駅からモノレールが出ている他、バスやケーブルカーでも行ける。華人はそこまで多くなく、やたら白人やインド人でにぎわっていた。

また、SMAPのSoftbankのCMでもお馴染みのMarina Bay Sands Hotel。天空の豪華客船を模したSands Sky Parkは凄い。Poolに加え、RestaurantとBarがオープンし、ヤシの木に囲まれ、かなり開放的なリゾートになっている。Poolは宿泊客だけだが、マーライオンや国会議事堂エリア、SingaporeのWall Streetである金融ビル街が見渡せ、景色を十分に楽しめる。

街に出ても、川沿いのレストラン街やリバークルーズ、バスツアーなど、外国人向けのアトラクションには事欠かない。国のシンボル、マーライオンも02年に景色のよい現在の場所に移動されたらしい。確かに背景の金融ビル群に強烈に映える。

海外からの富のパイプラインは、対企業では貿易・金融業、対消費者では観光業。
いかにして外人さんにカネを落とさせるか、執念めいた知恵を感じた。

・日本の影響力
Sigaporeの輸入相手国はEU、米国、マレーシア、中国に次ぎ、日本は5位、対内直接投資国では、米国、EUに次ぎ、日本は3位となっている。日本にとってはまだまだASEANの重要国でしかないが、Singaporeにとってはかなり大きな存在。

ミクロに街を歩いて観察すると、Singaporeの銀座であるOrchard Stationでは、伊勢丹、高島屋が軒を連ね、ユニクロはにぎわっているし、栄寿司には長蛇の列が出来ていた。電機メーカーでは、もちろんPanasonic, Sony, Canon, Niconなどがグローバルブランドとして健在。

他にも飲料メーカーのシェア2位のポッカ(周囲はCoca Cola)、味の素、サロンパス、味千ラーメンなど、見覚えのある日本ブランドを数多く見かけた。

海外に来ると、客観的に日本のプレゼンスを実感できて嬉しくなる。

・都市国家のロールモデル
淡路島ほどの資源なき国土に人口500万人が居住し、1人当たりGDPは日本を超えているSingapore。貨物取扱量で世界一、二を争うSingapore港、香港と並びアジア金融市場における高いポジション、アジア一を誇る国際会議、1万社を超える外資系企業が集積し、多くはアジアのHeadquarterとして選択している。その繁栄のカギは何か。

まず、世界の主要言語をOfficial Languageとして、カバーしていること。公用語は英語、北京語、タミル語(インド人)となっている。これらの言語のユーザーだけで、世界人口の優に過半数は行くだろう。加えて、使用頻度は劣るものの、近年成長著しいインドネシアやマレーシアのマレー語が正式な国語となっている。

米国発大手書店のBorder'sに行ってみると、ところ狭しと洋書が並び、米国での装いと全く変わるところがない。さらに、華人、マレー人、インド人といった異なる人種の人たちが、座り読みスペースで洋書を読みふけっている。

次に、女性や外国人労働者の活用。女子の高等教育の進学率が高い(現にSigapore国立大学では2005年に一学年、男子7,907人、女子9,197人と女子の方が多い)こともあり、女性は子育てが終わった後も共働きを続ける。そのために、外国人メイド政策として、フィリピン人、インドネシア人などのメイドが月4〜5万円ほどで雇って、家事を委託できるようになっている。

実際、フィリピン人のメイドさんが、白人の子供をベビーカーに乗せて、朝お散歩しているのを目撃した。

上に書いたように、Language Barrierが小さいこともあり、外国人労働者の受け入れも盛んだ。05年には、外国人労働者は67万人、全労働人口の28.3%にあたる。

高度なプロフェッショナル・クリエイティブ層は受け入れる一方、一般労働力は最小限に抑えていくという露骨な管理体制が敷かれている。前者は、家族同伴が認められ、退職年齢時まで働くことができ、永住権の取得も容易になっている。後者は、業種ごとの「雇用上限率」と「雇用税」によって需給がコントロールされており、家族同伴は不可、かつ永住権の取得は不可能である。

偶然、レアジョブのフィリピンの先生たちがSingaporeに旅行するというので、現地で会ってきたのだが、彼らは現地で3年働くIT Engineerに部屋を借りていた。出稼ぎ国家のフィリピンでは、Singaporeで働く人は全く珍しくないらしい。


最後に、賢い政府。都市全体にいい意味でどこか意図的な政策の香りが漂っているのを感じた。

- 罰金と刑罰。よく言われる道路横断、チューインガム、唾吐きは罰金。外国人でも鞭打ちなど見せしめのために体罰も辞さない。麻薬持込は問答無用で死刑。悪いことはできないお国柄なので、東南アジアによく見られる官僚の汚職も少ない。

- 交通政策。交通量を保ち、繁華街の混雑を防ぐため、リアルタイム(最短で5分単位!)で料金が変化する有料道路。これは、ERP(Electronic Road Pricingという交通規制。Enterprise Resource Planningではない)と呼ばれている。また自動車自体の数を減らすため、高い税金を課し、車価格は日本の3倍ほどもするらしい。その代わりに、MRT(Mass Rapid Transit)やバスなど公共交通機関を使ってほしい意図のようだ。

- 食糧政策。農地のない都市国家Singaporeでは、食糧は全て輸入頼み。東南アジアに見られる庶民の味である屋台はしばしば衛生面に問題があるため、まとめて一か所に押し込み、管理しやすいフードコートの形をとっている。共働きで3食外食の文化のため、1食300円ほどで栄養価の高いボリューム満点の料理が味わえるココは貴重だ。

さらに、Singapore川一帯には、川沿いの風を感じながら、食事を楽しめる中〜高級レストラン街(Clarke Quay, Boat Quay)が開発されており、ビジネス街の白人や観光客を中心ににぎわっている。

その他、例は尽きないが、この国でよく出来たシステムだと感心したものには、ほぼ政府の手が入っている。小さな国家な上、人民行動党の事実上の一党独裁のため、中央政府の政策が痛快なほどに効いている。都市全体がしたたかにデザインされたテーマパークのようだ。


2泊5日の小旅行ながら、都市自体がとてもコンパクトなためか、全体を見られた感じがする。赤道直下のため、年中最高30度超の暑さがネックではあるが、移住可能と十分思わせてくれるクリーンでスマートな都市だった。


PS 一つ違和感を感じたのが、車や街を歩いていても、スーツのビジネスマンを殆ど見かけないこと。やたら私服の学生や観光客が多い。一方、ビジネス街にはわんさかいたので、彼らの生息エリアがかなり限られているということかもしれない。

382.2・3月

 久しく間が空いてしまいましたが、
最近は比較的、余裕を持って過ごせています。


・地震当日の記録
 最初は小さな微振動が、徐々にグラングラン来て、狭い部屋で壁がミシミシ鳴っていたのが印象的。皆、どうしたものかと周囲をうかがっていましたが、阪神大震災経験者の先輩たちは真っ先に机の下へ。

 ネット上で事の重大さがわかるも、ひとまず外の状況を偵察に行くことに。オフィスのエレベータは停止していたので、非常階段を下りてみると、壁に生々しい亀裂。電話は全くつながらず、代わりに地震速報が20数通。
 
 鉄道はやはり運休状態で、駅の前にはたむろっている大勢の人だかり。タクシーも数十人待ちの凄い行列。これは宿がヤバいと、ホテルorカプセルホテルを当たるも、皆「満室」と手書きの貼紙がしてある。こういう時、事態を予測して真っ先に電話入れた人の勝ちなんでしょう。
 
 松屋、ミスドも片づけに追われて、臨時閉店。セブン、ファミマといったコンビニも、帰宅困難民が食糧調達に押し寄せ、弁当・サラダ類がほとんど売り切れている。通信、交通、宿、食料までもやられている状態。

 道は歩く人で流れが出来ていて、どこか異様な雰囲気。聞いたところでは東京から県境を越えて埼玉まで帰りついた猛者もいたそう。結局、1駅だけ歩いて、数少ない都営線に乗り込み、友人の家に泊めてもらうことに。他にも2人難民が頼ってきていて、4人で楽しく乗り切れました。

 朝、奇跡的に空いたタクシーを見つけて乗り込むも、渋滞で次のアポに間に合わないとのことで降ろされる(汗)結局、上野のホテルを探して、頼み込んで泊らせてもらうことに。午後、メトロの復旧を待って、やっと帰宅。

 ホテルの側でも多くの難民に出来る限りのサービスを提供するため、お掃除さんを一晩待機させて、朝、客が出ていくや否や清掃をかけ、回転率マックスで対応していたそう。助かりました。


・映画記録「Social Network」
 ご存知、Facebook創業者のザッカーバーグ氏をモデルにした映画。

 本人は「着ている洋服以外、全部ウソだ」と認めていないらしいですが、映画で描かれているプログラミングへの驚異的な執念と集中力は本物なんでしょう。(サービスリリースまで夜通しプログラミングして、リリースボタンを押した瞬間、そのまま寝ているシーンetc.)

 サービスが急成長していく様子を本場のネイティブ英語と場面展開のスピード感で演出。Harvard発のサービスながら、オフィスは西に移動。観ていたら、無性に西海岸に行きたくなってきました。


PS 友人から以下のロジックを聞いて、妙に納得してしまった。「意図的な爆発」と「意図しない爆発」で破壊力に違いは生じるのだろうか?

「66年前、広島に原爆が落ちた時も、隣接する山口の被爆被害はなかった(要確認)。仮に福島に当時の原爆が落ちても、隣接する首都圏は大丈夫なはずだ。

 ましてや、今回の事件は原爆のように殺意を持って意図的に核爆発させるわけではなく、自然に漏れ出す放射能をどう食い止めるか、という穏やかな課題なので、首都圏への被害拡大はありえないだろう。」

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Yosshy217

Author:Yosshy217
経営コンサルティング会社勤務(2年目)。
日々の思索とそのアウトプットが生き甲斐。

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